2002/11/22
[RLC021122]ルビュ言語文化 第40号
[2002-11-22] Revue Langue et Culture N.040 #################################################################### [ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第40号 ── #################################################################### ■ 40号 もくじ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◇研究室より:「日本語を学ぶことは,日本文化を学ぶこと」か? ◇私から一言:インターアクションのぐちゃぐちゃ 星野百合子 ◇おしらせ:掲示板復活,ほか ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 研究室より ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 「日本語を学ぶことは,日本文化を学ぶこと」か? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「日本語を学ぶことは,日本文化を学ぶことだ」という評言が世の中に知 られるようになったのは,1970年代の「日本語再発見」ブームのころだろう。 これは池田摩耶子『日本語再発見』に端を発するもので,急激に増加した外 国人日本語学習者への日本語教育の関心の高まりをあらわすものだった。 ここでしばしば言われたのは,日本語を外から見るという視点だ。外国人 による日本語論・日本人論が注目された時期でもある。日本語を外に向けて 開くという動きがあった。とくにここでは,母語としての日本語を客観化, 相対化するということが話題になった。 一方で,「日本語を学ぶことは,日本文化を学ぶことだ」という評言の中 身が,具体的に検討されることはなかった。そして,母語の客観化・相対化 の課題は,日本語を外から見ることとどのようにつながるのかも明確になら ないまま,宙ぶらりんの状態で放置されてしまった。 ことばを学ぶことは,本当に文化を学ぶことなのだろうか。では,そのと きの文化とは何だろうか。 「日本文化」というとき,私たちは何を思い浮かべるか。これがこの国の 文化であるという普遍性をもったものとして,「日本文化」を捉えることが できるだろうか。 その実体がどこにあるかを問わずに,「日本語を学ぶことは,日本文化を 学ぶこと」というのはむなしいし,あまりにも無責任である。 では,どのように「日本文化」は捉えられるのか。もちろん,これは, 「日本文化」に限ったことではなく,「文化」一般に考えられることである。 そうすると,日本語教育の「日本事情」とは日本語学習者が日本語の背景 にある歴史や文化を理解するためのもの,という認識はたしかにどこかで覆 さなければならなくなるだろう。 しかし,日本語教育では,なぜ実体のないものを教えようとしてきたのか。 21世紀になってもなお,「日本語=日本文化」は,めざすべき共同幻想と して日本語教育の闇の中で燦然と輝いている。 (ほ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 私から一言 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ インターアクションのぐちゃぐちゃ 星野百合子 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この研究室に入ってもうすぐ2ヶ月,ことばことば,インターアクション インターアクション,コミュニケーションコミュニケーション・・・。毎日 考える日々が続く。 頭の中がぐちゃぐちゃになっていくのと比例して私の部屋もぐちゃぐちゃ になっていく。掃除しなければと思いつつ,いろいろすることがあるとあせ る気持ちにかまけてそのままにしてしまう。 再び深くて暗い思考の闇の中へ・・・行き詰まってしまったら人に聞いて もらう。まだよく自分でも何がどういいたいのかわかっていない状態で外言 化(ことばに)するから,非常に理解しにくいかたちでしか言いたいことを 説明できない。それでも聞いてくれるやさしいひとびと。ありがたい。人に 言いたいことを伝えようとしていくうちに自分の中でも内言(言いたいこと) がよりすっきりとした形になってくる。でもまだまだだ。 内言が形になっても(何を伝えたいかはっきりしても)いかに他者にわか りやすいように外言化するかが問題だ。相手の反応をみて,相手のことばを 聞いて,何度も言い直したり,言い換えたりを繰り返す。その間,相手のこ とばを反対に自分の中に取り込んで解釈して・・・またことばを返して・・・。 書いていると恐ろしく大変な作業のようだが実際大変だ。でも大変だけど 楽しかったりもする。真剣に話し合えるひとがいるってことはすばらしいな と思う。 しかもこの作業を終えると自分の中での思考が深まったかんじがする。こ れがインターアクションの活用というやつだろうかと一人思い込み?ほくそ えんでいたりする。 この研究室に入ったことで,そんな人とのコミュニケーションのすばらし さとそういう人がいてくれるというすばらしさの両方をより深く味わうこと ができるようになったと思う。 頭が一瞬すっきりとしたような気がしたところで奮起して部屋を掃除して みた。一応片付いた。でもどちらもすぐにもとの恐ろしい混乱状態に・・・ もしや思考も同じところをめぐってるだけなんだろうか。 (日本語教育研究科 修士1年 星野百合子) ■ 投稿お願い ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメルマガの読者の方々から広くご意見を募集しています。日本語教育に かかわることなら何でも結構。ご意見・ご感想は,掲示板までお願いします。 掲示板URL:http://bbs5.otd.co.jp/hosokawa/bbs_plain なお,書き込むにはパスワードが必要です。現在のパスワードは, ユーザー名: user パスワード: x123x (ともに半角英数)です。 また,「私から一言」欄に投稿希望のかたは,その旨を明記して,細川英雄 hosokawa@waseda.jp までメールで原稿をお送りください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ おしらせ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ━【掲示板復活】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆言語文化教育研究室掲示板 ◆http://bbs5.otd.co.jp/hosokawa/bbs_plain ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇メルマガへのご意見ほか,日本語教育に関する話題を自由に書き込んでく ださい。 ◇学会,研究会等の案内などは書き込まないで,管理者までメールでお知ら せください。検討の上,別ページに掲載させていただきます。 ◇以上の方針にそぐわないメッセージは,投稿者に断りなく管理者が削除さ せていただきますのでご了承ください。 ◇なお,書き込むにはパスワードが必要です。現在のパスワードは, ユーザー名: user パスワード: x123x (ともに半角英数)です。 ◇ご投稿お待ちしております。 ━【学会】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆日本言語政策学会 第1回大会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇日時:2002年11月30日(土)12:00-17:30,12月1日(日)10:00-17:20 ◇会場:桜美林大学町田キャンパス 崇貞館,太平館 ◇参加費:会員無料,非会員3000円 ◇研究発表:日本研究を超えて−日本語教育学の位置付けと課題 細川英雄(早稲田大学),ほか ◇お問い合わせ:jalp@obirin.ac.jp ◇詳細は,http://www.obirin.ac.jp/~jalp/1stconference2.html ━【無料講演・説明会】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆朝日カルチャーセンター「日本語教師養成講座」講演会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇日時:12月7日(土) 15:30- ◇第1部:講演(15:30-)「国際化のなかの日本語教師―学習・教育・研究 を結ぶ視点―」細川英雄(早稲田大学日本語教育研究科教授) ◇場所:朝日カルチャーセンター内 教室(新宿住友ビル43階) ◇お申し込み:要予約(定員になり次第,締め切らせていただきます) 朝日カルチャーセンター日本語科まで,電話またはE-Mailで TEL 03-3344-1965(月〜土 10:00-18:30) E-mail nihongo@acc-web.co.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誌 名:ルビュ「言語文化」40号 発行日:2002年11月22日(毎週金曜日発行) 発行所:言語文化教育研究室 〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14 早稲田大学大学院日本語教育研究科内 編集,発行責任者:細川英雄 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/ 配信システム:まぐまぐ http://http://www.mag2.com/ ────────────────────────────────── 登録,解除の手続きは, http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (c) 2002 Hosokawa, H. Lab. 無断転載を禁じます。