2002/10/25
[RLC021025]ルビュ言語文化 第36号
[2002-10-25] Revue Langue et Culture N.036 #################################################################### [ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第36号 ── #################################################################### ■ 36号 もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇研究室より:メソッドとアプローチ ◇私から一言:プレイバック・プレイバック〜 橋本弘美 ◇おしらせ:公開「論集ひととことば第3号」,他 -------------------------------------------------------------------- ■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メソッドとアプローチ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 問題発見解決学習をめざした総合活動型日本語教育について話題にすると, 毎回必ず出る質問は, 「初級の学習者の場合や海外の教育現場でも可能なのか」 というものだ。 総合活動型学習(以下,「総合」)は,ある特定の語彙や文型の習得を目的 とするものではないので,教室空間での参加者同士のやり取りが中心になる。 文型はかなり抑えられつつ,さまざまな語彙が飛び交うことになるだろう。 その場面は前もって想定することが難しい。だからこそ,シラバスも立てに くい。 しかし,考えてみれば,ことばの習得とは,文型や語彙を覚えることではな く,「自分の言いたいこと」をどのように表現することができるようになる か,である。初級の学習者は語彙や文型を持っていないから,まずそれを与 えてという発想からは,彼らの「自分の言いたいこと」を引き出すことはで きない。このやり取りは,担当者が対話場面を判断しつつ,どのように学習 空間を設計し,それをさらに組織化することに他ならない。 このように考えると,具体的な方法はまさにその場その場で異なるから,メ ソッドとして切り取るのは不可能である。 重要なことは,「なぜ総合か」という問いである。 この問いに自ら答えようとするものだけが「総合」の中に入っていける。だ から,「総合」は教授法としてのメソッドではなく,思想としてのアプロー チなのである。 (ほ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 私から一言 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〜プレイバック・プレイバック〜 橋本弘美 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 授業が始まり3週間が経ちました。 レポート等に追われる忙しい毎日の中で,たまには息抜きも必要...! というわけで,先日ゼミのメンバー数人とカラオケに行ってきました。楽し かったです。歌いました,久しぶりに! 私の選曲は山口百恵の「プレイバック・パート2」(古い) 〜ちょっと待って・プレイバック・プレイバック・今のことば・プレイバッ ク・プレイバック〜(もちろん振付けつき) ・・・気分よく歌いながら,・・・あれ?この気持ち,どこかで味わったよ うな気がする・・・と思いました。そう,それは大学院でのやりとりです。 「ちょっと待ってください,今のことば,どういう意味ですか?」私の言い たいことが相手に届かなかったとき,相手からとことん“プレイバック”さ れます。 自分は何を言いたいのかをしっかり相手に伝えなくてはなりません。 「発信せざるもの人にあらず」の細川研究室では,人として生きるために, 「私」はどう考えるのかという立場を表すことからはじまります。それがあっ てはじめて他者との厳しいインターアクションが待っています。そんなやり 取りの中では,相手からの“プレイバック”だけではなく,自分自身もまた 自分の考えの中に“プレイバック”していくのです。それは一回限りで終わ るものではありません。 まずは,自分の考えをことばにして出さないと,どこからか聞こえてくるか もしれません... 〜バカにしないでよ!〜 というセリフが。 (早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程1年) --【 投稿お願い 】------------------------------------------------ 「私から一言」に,このメルマガの読者の方々から広くご意見をいただき たい。日本語教育にかかわることなら何でも結構,ただし,個人や団体の誹 謗中傷の類はご遠慮いただきたい。随時,下記のアドレスにメールをいただ ければ幸いである。 細川英雄 hosokawa@waseda.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==【新刊】========================================================== □ 「論集ひととことば」第3号 公開 □ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/htkt_jn.htm ==================================================================== ■大学院日本語教育研究科の講義・演習レポートをもとにした論考集。全文 がPDFでご覧になれます。ぜひご覧ください。 ■2002年度春の「総合」をはじめとする言語文化活動への,さまざまなアプ ローチが掲載されています。いろいろな角度からの「総合活動型日本語教 育」への考察が満載。 ■当研究室への参加を考えていらっしゃる方に是非おすすめ! ●もくじ● 言語と文化の統合される地平 三代 純平 コミュニケーション共同体としての日本語教室 塩谷 奈緒子 「文化」という言葉をめぐる冒険 水戸 淳子 「思考」と共に在る「ことば」のために 森元 桂子 日本語教育における「複眼的対象認識能力」とは何か 崔 允釋 第二言語習得目的を「自分の考えを表現すること」に置く意義 張 珍華 コミュニケーション能力を育成する言語教育とは 田中 敦子 ことばと文化を統合する授業活動にむけて 渡辺 啓太 ステレオタイプの弊害 今井 なをみ 日本語教育における学習者の自己相対化について 蛇抜 優子 支え合う内省 マリー・テレーズ・ヴァサール アドレス: http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/htkt_jn.htm ==【新刊】========================================================== □ 21世紀の「日本事情」─ 日本語教育から文化リテラシーへ 第4号 □ B5判 本体価格 2,000円 くろしお出版 □ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/21c.htm ==================================================================== 「日本事情」研究のための学術雑誌。理論的考察の深化、調査研究の展開、 実践的試行の蓄積、そして関連情報の共有を同時に目指す年刊の理論誌です。 お求めは,全国書店にて。 ●海外の日本語教育における日本文化の学習を促すコースと教師の役割 トムソン 木下 千尋 ●講演記録:2001年日本語教育学会シンポジウム「文化」をどう教えるか ●他 ==【シンポジウム】================================================== □ 日本語と日本研究 〜日本を知るための日本語とは〜 □ 国際交流基金設立30周年・関西国際センター開設5周年記念シンポジウム □ http://www.jpf.go.jp/j/kansai/news/seminar020918.html ==================================================================== 国際交流基金設立30周年・関西国際センター開設5周年記念の本シンポジ ウムでは,専門日本語研修の中でも日本研究者・大学院生に対する日本語研 修に関連して,現在日本研究の第一線で活躍しておられる方々に報告いただ き,議論を深めます。多数の皆様のご来場をお待ちしております。 ●期日:平成14年11月1日(金) 10:00〜17:30 ●場所:国際交流基金関西国際センター(大阪府泉南郡田尻町) ●申込方法等,詳しくは http://www.jpf.go.jp/j/kansai/news/seminar020918.html をご覧ください。 ==【無料講演・説明会】============================================== □ 朝日カルチャーセンター「日本語教師養成講座」講演会[無料] ==================================================================== 朝日カルチャーセンターの「日本語教師養成講座」の募集にあたり,無料 講演会・説明会を開催します。ぜひご参加ください。 ●日時:12月7日(土) 15:30- ●第1部:講演(15:30-)「国際化のなかの日本語教師―学習・教育・研究 を結ぶ視点―」細川英雄(早稲田大学日本語教育研究科教授) ●第2部:講座説明会(17:00-18:15) ●場所:朝日カルチャーセンター内 教室(新宿住友ビル43階) ●お申し込み:要予約(定員になり次第,締め切らせていただきます) 朝日カルチャーセンター日本語科まで,電話またはE-Mailで TEL 03-3344-1965(月〜土 10:00-18:30) E-mail nihongo@acc-web.co.jp ==================================================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誌 名:ルビュ「言語文化」36号 発行日:2002年10月25日(毎週金曜日発行) 発行所:言語文化教育研究室 〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14 早稲田大学大学院日本語教育研究科内 編集,発行責任者:細川英雄 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/ 配信システム:まぐまぐ http://http://www.mag2.com/ ────────────────────────────────── 登録,解除の手続きは, http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (c) 2002 Hosokawa, H. Lab. 無断転載を禁じます。