2002/09/27

[RLC020927]ルビュ言語文化 第32号

[2002-09-27] Revue Langue et Culture N.032
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[ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第32号 ──

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■ 32号 もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇研究室より:日本語教師の専門性とは何か
◇私から一言:「○○語を話す○○人」森元桂子
◇おしらせ:日本語教育を志す人のための大学院フェア,朝日カルチャー
      センター「日本語教師養成講座」ほか
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■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 大学院の講義「言語文化研究」では,「言語文化とは何か」というテーマ
で考えてきたが,もう一歩のところで何かすれ違う感じがしてきた。

 言語と文化の関係を考え,それが教育とどう結びつくかというところがポ
イントなのだが,この部分がどうもうまくいかない。そこで,教育の部分に
シフトして考えようとすると,どうしても実践との関係を論じないわけには
いかなくなる。
 しかし,理論を中心とした講義なので,実践について語る時間はない(実
践については,実践研究という別の時間がある)。だから,担当者・受講生
ともにフラストレーションが起こるのである。

 そこで,今期から趣きをずっと変えて,「日本語教師の専門性」をテーマ
にすることにする。日本語教室では何を教えるのか,その専門性とは何か,
それはどのようにして身につけることができるのか。
 こういった話題を中心に半年間,学生諸君と一緒に考えてみようと思う。

 今まで自明のこととして扱われてきた「日本語教師の専門性」あるいは
「語学のプロ」という発想から何が見えてくるか。これが今期の課題であ
る。                            (ほ)
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■ 私から一言 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「○○語を話す○○人」               森元 桂子
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 「○○語を話す○○人」というCMを見たことがありますか。
 最初は流暢な日本語だけが聞こえるので,てっきり「これは日本人が話し
ているんだろう。」と思っていると,まるでそれを見透かしたかのように,
続いて話者のアメリカの女の子の姿が映し出される,というものです。
 ネイティブでなくても訓練次第ではネイティブ並みに話せるようになる,
ということももちろん伝わってきますが,それ以上に強烈なのは,あのCM
が私たちの中にある固定観念というものを鋭く突いている点にあるのではな
いかと思います。

 このように私たちは普段「○○人は○○語を話す」とか「○○人は〜であ
る」とか,勝手且つ強い思い込みを持って人と接してはいないでしょうか。

 また,あのCMでは「関西人」という表現が「アメリカ人」や「イタリア
人」という言葉と肩を並べて出てきますが,なぜ彼が「日本人」ではなく
「関西人」として描かれているのでしょうか。
 私は自分という人間を「○○人」という一つの型で語り尽くすことができ
ません。また,他の人のことを「○○人」という一つの型で捉え尽くすこと
もできません。
 大事なことは,自分や目の前の人が○○人だという事実や,○○語を話し
ているということではなく,まして○○国では○○人らしく○○語を話せる
ようになるということでもなく,お互いが「ひと」と「ひと」であること,
各々の「ことば」と「ことば」を交わすのだということなのだと思います。
そして,そのようなコミュニケーションを通して,自分をより深く知ること
もできるだろうということなのだと思います。

 もし,私がこの研究室に出会わなかったら,私はあのCMを見てもきっと
こんな風には考えもしなかった...細川研究室って,そんな場所です。
            (早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程)

--【 投稿お願い 】------------------------------------------------
 今号より「私から一言」をはじめた。以前の「院生から一言」の復活であ
るが,これからは院生に限らず,このメルマガの読者の方々から広くご意見
をいただきたい。日本語教育にかかわることなら何でも結構,ただし,個人
や団体の誹謗中傷の類はご遠慮いただきたい。
 随時,下記のアドレスにメールをいただければ幸いである。

          細川英雄 hosokawa@waseda.jp
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■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
==【明日です!:説明会】============================================
□ 日本語教育を志す人のための大学院フェア
□ http://www.alc.co.jp/catc/bu/bu020928.html
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 ステップアップに結び付けるための大学院選び,ポイントは情報収集にあ
るといっていいでしょう。この大学院フェアでは全国の大学院が集まり,カ
リキュラムの詳細や入試について説明します。また,院の指導教官や入試担
当者と話ができる個別ブースを設けますので,知りたいこと,気になること
が直接聞けるチャンスです。同時に,現役院生や院卒業生の生の声が聞ける
対談も開催。多方面から大学院について知ることができる絶好の機会を,ど
うぞご利用ください。
●日時:2002年9月28日(土)10:00〜17:00 
●場所:アルク本社スペースキャット(会場変更につき,ご注意ください)
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●内容などの詳細は,http://www.alc.co.jp/catc/bu/bu020928.html でご
 覧ください。
●お問い合わせ:(株)アルク CAT事業部イベント企画推進課
        E-mail: event@alc.co.jp


==【シンポジウム】==================================================
□ 日本語と日本研究 〜日本を知るための日本語とは〜
□ 国際交流基金設立30周年・関西国際センター開設5周年記念シンポジウム
□ http://www.jpf.go.jp/j/kansai/news/seminar020918.html
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 平成9年春に設立された国際交流基金関西国際センターは,今年で開設5周
年を迎えます。センターでは,日本語研修事業と日本語能力試験に関する業
務を行っていますが,前者については,「専門日本語研修」を実施している
点が特色として挙げられます。これは諸外国の外交官,公務員,図書館司書
及び人文社会科学系の日本研究者・大学院生を対象としたもので,各人の専
門性を背景とした日本語教育を行っているものです。
 国際交流基金設立30周年・関西国際センター開設5周年記念事業の一環であ
る本シンポジウムでは,専門日本語研修の中でも日本研究者・大学院生に対
する日本語研修に関連して,現在日本研究の第一線で活躍しておられる方々
に,自身の日本語学習経験や現在の研究活動と日本語との関係などについて
報告していただき,将来の日本研究者に対する日本語教育の在り方について,
議論を深めます。なお,冒頭に,著名な日本研究者である,ボン大学日本学
研究所のヨーゼフ・クライナー所長に基調講演を行っていただくことになっ
ています。
 多数の皆様のご来場をお待ちしております。

●期日:平成14年11月1日(金) 10:00〜17:30
●場所:国際交流基金関西国際センター(大阪府泉南郡田尻町)
●司会:大坪一夫(麗澤大学外国語学部教授)
●申込方法:E-mail,ファックス,はがきの何れかにて,氏名・所属・連絡
      先を明記のうえ,以下の宛先へお申込下さい。折り返し参加案
      内をお送りいたします。なお,定員(120名)に達し次第締め
      切ります。
●お問合せ:関西国際センター総務課 担当:島田・中村
      〒598-0093 大阪府泉南郡田尻町りんくうポート北3-14
      Tel: 0724-90-2601,Fax: 0724-90-2801
      E-mail: kcm@jpf.go.jp
      URL: http://www.jpf.go.jp/j/kansai/news/seminar020918.html
●プログラム:
 10:00 開会挨拶
 10:30 基調講演:ヨーゼフ,クライナー(ボン大学日本文化研究所)
 11:30 報告1:ジャクリーヌ,ベルント(横浜国立大学)
 13:15 報告2:ジョナ,サルズ(龍谷大学)
 14:00 報告3:マノジュ,L.シュレスタ(甲南大学)
 14:45 報告4:テリー・マクドゥガル(スタンフォード日本センター)
 15:45 パネルディスカッション:金 秀芝(関西国際センター)

くわしくは,http://www.jpf.go.jp/j/kansai/news/seminar020918.html を
ご覧ください。


==【サイト開設】====================================================
□ 「みんなの教材サイト」 ---  http://www.jpf.go.jp/kyozai/
□ 国際交流基金日本語国際センター
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 国際交流基金日本語国際センターでは,日本語教材作成を支援するために,
「みんなの教材サイト」(http://www.jpf.go.jp/kyozai/)というウェブサ
イトを開設しました。

 「みんなの教材サイト」では,これまで冊子で提供してきました初級日本
語教育素材集『教科書を作ろう』の文法説明,例文,単語,練習,イラスト
など関連情報を様々な角度から検索でき,自分のコンピューター上で教案や
教材を作成する際に利用しやすい仕組みとなっています。
 また,教材作成のノウハウを紹介する「教師用ナビ」や,ユーザーが『教
科書を作ろう』などを利用して作成した教案や教材を集めた「みんなのアイ
ディア」など,冊子にはない情報も多数,掲載していますので,『教科書を
作ろう』をより活用していただくためにも,是非,ユーザー登録の上,ご利
用いただければ幸いです。

 今後も使用のための著作権許諾の手続きを必要としない日本語教育用素材
を多数掲載していく予定です。
 現在,海外の日本語教師はもとより,日本国内の日本語教育機関の先生や
地域で日本語を教えていらっしゃる方,日本語教師を目指す方にも,多数,
ユーザー登録をして頂いていますので,日本国内,海外で教えている日本語
教師との出会いや意見交換の場としても,ご活用ください。

●お問合せ:国際交流基金日本語国際センター制作事業課
      〒336-0002 埼玉県さいたま市北浦和5-6-36
      TEL:048-834-1183 FAX:048-831-7846
      URL:http://www.jpf.go.jp/kyozai/ (みんなの教材サイト)
        http://www.jpf.go.jp/j/urawa/index.html (Urawa Home)


==【出版情報】======================================================
□ アルク「月刊日本語」10月号 ― 特集:よく効く!ブラッシュアップ術
□ 座談会「大学院へ行こう!」       http://www.alc.co.jp/gn/
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 明日の授業を変えるための特集です。ブラッシュアップの一つ,大学院を
取り上げます。日本語学校を辞めて大学院に通う方などの話を通して,大学
院での学び方を紹介します。               (c) Space Alc
●出席者:井上靖夫(放送大学大学院),竹田ひかり(東京学芸大学大学院)
     渡辺由美子(桜美林大学大学院)
●司会:細川英雄(早稲田大学大学院日本語教育研究科)


==【無料講演・説明会】==============================================
□ 朝日カルチャーセンター「日本語教師養成講座」
□ 履修のためのガイダンス・講演会
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 海外からの就学生が増加している今,日本語教師のニーズも高まっていま
す。朝日カルチャーセンターの「日本語教師養成講座」は28年の歴史をもち,
国の内外から高い評価を得ています。420時間の履修をめざす当講座の募集に
あたり,無料説明会を開催します。興味をお持ちの方はこの機会にぜひご参
加ください。

●日時:12月7日(土) 15:30-18:15 
●第1部:講演(15:30-17:00)
    「国際化のなかの日本語教師―学習・教育・研究を結ぶ視点―」
      細川英雄(早稲田大学日本語教育研究科教授)
●第2部:講座説明会(17:00-18:15)
●場所:朝日カルチャーセンター内 教室(新宿住友ビル43階)
●参加費:無料 
●お申し込み:要予約(定員になり次第,締め切らせていただきます)
       朝日カルチャーセンター日本語科まで,電話またはE-Mailで
       TEL 03-3344-1965(月〜土 10:00-18:30)
       E-mail nihongo@acc-web.co.jp
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 誌 名:ルビュ「言語文化」32号
 発行日:2002年9月27日(毎週金曜日発行)
 発行所:言語文化教育研究室
     〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14
     早稲田大学大学院日本語教育研究科内
 編集,発行責任者:細川英雄
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/
 配信システム:まぐまぐ
     http://http://www.mag2.com/
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 登録,解除の手続きは,
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm
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(c) 2002 Hosokawa, H. Lab. 無断転載を禁じます。
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