2002/06/28

[RLC020628]ルビュ言語文化 第26号

[2002-06-28] Revue Langue et Culture N.026
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[ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第26号 ──

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■ 第26号もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ 研究室より:「一体どこを目指した会話教育をしたいんだろう」
◇ おしらせ:講演「日本語指導が必要な外国人児童生徒に対して必要な視点
       は何か」,新刊『総合的日本語教育を求めて』,ほか
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■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先週末,ある研究会に出席した学生から次のようなメールをもらった。少し
長いので,概要を紹介する形で引用する。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 
そこでは何度も「コミュニケーション」という言葉が使われていましたが,
その意味はGBK(僕の担当する「言語文化研究」のこと)で言うところの
外言だけを指したものでした。
外言を体よく「日本人らしい」会話に近づけることが,会話教育であると言っ
ているように聞こえました。
例えば,上級レベルでの会話の授業は,ACTFL-OPIを基準にしたらよいのでは
ないか,というところから始まりました。(この点にも大いに異議があるの
ですが)
−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+
●「ゴミ出しの日を尋ねる」という設定での会話例

  A:ゴミはいつ出したらいいですか。
  B:燃えるゴミは月曜と木曜で,燃えないゴミは土曜です。
  A:そうですか。ありがとうございました。
       ↓
  これを「日本人らしい」会話にすると,
       ↓
  A:ゴミはいつ出したらいいですか。
  B:燃えるゴミは月曜と木曜です。
  A:月曜と木曜ですね。(*)
  B:燃えないゴミは土曜です。
  A:土曜ですね。(*) ありがとうございました。

(*)印のついた確認の表現は「一般的な日本人」のほとんどが言うはずで
す。そして,これが入ることによって,「生き生きとしたコミュニケーショ
ン」になるのです。
−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+
これを聞いて,私の頭の中は「はあ〜?」という一言であふれそうでした。
「一般的な日本人」,「生き生きとしたコミュニケーション」という言葉に
も,これを上級レベルの会話教育として教えるということにも,そしてこれ
を聞いて「うん,うん」と頷いてノートをとっている人々にも,すべてに関
して疑問でした。
コミュニケーション能力とは,外言の形式を整えることではない,というG
BK参加者の私には,一体みんなどこを目指した会話教育をしたいんだろう
と思ってしまいました。
= = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 

因みに,ある先生が初級会話の授業についてを発表し終えたとき,我が同僚
の川口義一さんが,「キレて」「吠えて」いたそうである。

川口さんの「初級学習者でも,自分のことを語らせることで,話す力はつく
はずです」「多少間違っていても,相手に通じればいいじゃないですか」と
いう説明は,僕の考え方と重なるようだとか。

読者の皆さんはどうお考えですか。               (ほ)

+-【!ご意見ください!】-------------------------------------------+
このメルマガでは,読者の方々の,いろいろな意見を紹介しつつ,日本語教
育の問題をみんなで考えていく「場」としたいと考えています。どうぞHPの
掲示板にお便りをください。皆さんからの投稿を待っています。
● 言語文化研究室掲示板:http://bbs5.otd.co.jp/hosokawa/bbs_plain ●
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■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
=【講演:間近!!】=================================================
□ (株)アルク「こどもとにほんご」セミナー:ボランティアの今
□「日本語指導が必要な外国人児童生徒」に対して必要な視点は何か,日本
□ 語教育でできることは何か
□ http://www.alc.co.jp/catc/bu/bu020630.html
====================================================================
●日時:2002年6月30日(日) 13:00〜17:00
●会場:アルク本社地階,スペースキャット(杉並区永福)
●定員:120名
●料金:CATクラブ会員3,000円/一般3,500円
●対象:一般(事前予約が必要です)
●講演:川上郁雄(早稲田大学日本語研究教育センター教授)
    「今,何が起きているのか」なぜ子どもが増えているのか,何が問
    題となっているのかなど,これから子どもに日本語指導したいと考
    えている人たちにわかりやすくお話しします。
●実践紹介:ボランティアグループの取り組みの紹介
●教え方のヒント:池上摩希子(中国帰国者定着促進センター)
    手に入る教材,教具を,教室でどのように活用するか。具体的な教
    材を使いながら,子ども向けの指導方法のヒントをご紹介します。

=【新刊案内】=======================================================
□ 『総合的日本語教育を求めて』
□ 水谷修,李徳奉 編(国書刊行会:\6,800+税)
□ http://webshop.ncm.jp/kokusho/shinkan.html
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2000年1月,ソウルで開催された韓国日本語学会と日本の日本語教育学会の
共催で開かれた国際シンポジウムは,「21世紀型総合的日本語教育におけ
る語学,文学,文化及びメディアのあり方」を追究したもので,21世紀の
日本語教育を目指す画期的なものでした。そのシンポジウムを元にした各
国の日本語教育研究者の論文集です。
お求めは,全国書店にて。


=【受講者募集】=====================================================
□ 早稲田大学日本語教育学公開講座「21世紀の日本語教育学へ」
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=【開催】===========================================================
□ 国語と日本語の連携を考える会 第10回研究会
□「日本人,留学生,年少者を結ぶ視点」
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● 於 :2002年7月27日(土) 15:00〜18:00 早稲田大学 22号館
●話題1)多文化共生をめざす「地球子供教室」の日本語学習とカリキュラ
     ム構成         宇土泰寛(東京都港区立三光小学校)
●話題2)大学での「書く」授業を通じてどんな「視点」が引き出せるか
                      大島弥生(東京水産大学)
●くわしい内容は,http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/ にて。


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お便りください。   発行責任者:細川英雄 hosokawa@mn.waseda.ac.jp
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 誌 名:ルビュ「言語文化」26号
 発行日:2002年6月28日(毎週金曜日発行)
 発行所:言語文化研究室
     〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14
     早稲田大学大学院日本語教育研究科
 編集,発行責任者:細川英雄
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/
 配信システム:まぐまぐ
     http://http://www.mag2.com/
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 登録,解除の手続きは,
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm
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