2002/05/31

[RLC020531]ルビュ言語文化 第22号

[2002-05-24] Revue Langue et Culture N.022
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[ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第22号 ──

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■ 第22号もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ 研究室より
◇ おしらせ‥日本語・日本語教育研究会のご案内 他

■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 先週お茶の水女子大学で行われた日本語教育学会第一日目に,「日本語教
育史研究のこれから」というシンポジウムがあった。

 そのなかで,日本語教育が日本の国家的な施策の中で機能し,戦後の国際
化という動きも一つの国策であり,決して中立的立場ではありえないという
発言があった。その意味で,日本語教育は国語教育とも無関係ではないこと,
そして,それらの教育を支えているのは,個としての教師一人一人の意識に
あることが指摘された。
 この指摘はまさに日本語教育の無思想性に言及するもので,学会にとって
も痛い一刺しであったと思われる。ただ問題は,では,そこからどうするか,
ということだと思う。思想史は,その思想上の問題を指摘するだけにとどま
らず,思想史としての立場を明らかにすべきだろう。

 関連して第二日目に行われた「状況論的アプローチと日本語教育研究」の
パネルディスカッションでは,従来の日本語教育から,状況論的アプローチ
による日本語教育への必要性が提言された。
 しかし残念なことにここでも,ではどうするのか,という問いへの具体的
な姿勢は示されなかった。

 従来の日本語教育という形で日本語教育の実践を一括りすることは危険で
ある。さまざまな実践の蓄積の上で成り立っている教育現場へ対しての問題
提起ならば,では,どのような実践なのか,という提示が不可欠であろう。
それならば,いまさら状況論を持ちださなくても,もっと身のある議論はで
きるはずである。

 学会の発表で,どこかの本に書いてあるような紹介を聞くつもりはない。
ここでも個としての教育研究者の意識と立場の表明が試されている。


 前回の「書くこと」への提案に対して,HP掲示板に早速意見をいただいた。
また,その意見への質問もつづいている。熱い議論の盛り上がることを期待
したい。                           (ほ)

+-【!ご意見ください!】-------------------------------------------+
このメルマガでは,読者の方々の,いろいろな意見を紹介しつつ,日本語教
育の問題をみんなで考えていく「場」としたいと考えています。どうぞHPの
掲示板にお便りをください。皆さんからの投稿を待っています。
● 言語文化研究室掲示板:http://bbs5.otd.co.jp/hosokawa/bbs_plain ●
+------------------------------------------------------------------+


■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
=【開催】===========================================================
□ 日本語・日本語教育研究会:「日本語の文法論を一般化すれば」
□ アンドレ・ヴロダルチック(シャルルドゴール(リール第3)大学)
====================================================================
・日時:2002年6月6日(木) 16:30〜18:00
・会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス 22号館 203教室
・講師:アンドレ・ヴロダルチック(シャルルドゴール(リール第3)大学
    人文学部 日本語日本文化研究学科)
・対象: 学生・教職員・一般(事前の申し込みは必要ありません)
・使用言語:日本語
・話題:日本語の文法論を一般化すれば
    言語は情報の内容をそのまま表すとはいえない。しかも必ず話し手
    のさまざまな態度を提示していると言える。
    国語研究の分野での「叙述」と「陳述」という対立概念を見ても,
    この問題が新しいものではないということは確かだろう。
    日本語の文法では,談話においても話し手の表現がいろいろな形を
    取って現われることがわかる。
    したがって,日本語の「は」と「が」助詞の研究も永遠に終わらな
    いのである。
    ここでは「は」と「が」助詞の解析に基づき,宣言情報発話を中心
    として,一般的な談話文法論の基礎について述べたい。
・お問い合わせ:cjl@list.waseda.ac.jp :早稲田大学日本語研究教育セン
        ター


=【お願い】=========================================================
□ インドネシアに本を贈る運動にご協力ください☆
====================================================================
インドネシアで日本語を勉強している大学生が,日本の本を集めて図書館を
作る活動を始めました!!!
あなたの要らなくなった本がインドネシアの図書館に並びます!
あなたも身近な所から国際協力を始めてみませんか?

〜募集している本〜
1.日本について書かれた本や雑誌など (英語歓迎)
2.簡単な字が書かれた子ども用の絵本
3.簡単な字で書かれたマンガ (例:クレヨンしんちゃん,ドラえもん)
4.日本の伝統的な文化について書かれた本や雑誌 (英語歓迎)

あなたのご協力をお待ちしております。
まずは下記までご連絡ください。

大阪大学人間科学研究科 ボランティア人間科学講座
国際協力論 修士1年
細川もなみ monamih@nifty.com


=【好評発売中!】===================================================
□ことばと文化を結ぶ日本語教育(日本語教師のための知識本シリーズ2)
□細川英雄 編(凡人社,2,400円+税)
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日本語教育における「文化」とは何か。ことばと文化の関係に着目した実践
を手がかりに,コミュニケーションとしての第二言語習得の位置づけを捉え
なおす14章。
●ことばと文化を結ぶ日本語教育をめざして
●学習者参加型評価と日本語教育    ●学習者主体とは何か
●日本語教師のための状況的学習論入門 ●内容重視の日本語教育 ほか
くわしい内容を,http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/musubu.htm
でご覧いただけます。
お求めは,全国書店で。
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執筆者をパネリストとして,交流シンポジウムが開催されます。皆様,ふるっ
てご参加ください。
--------------------------------------------------------------------
■『ことばと文化を結ぶ日本語教育』交流シンポジウム
■「ことばと文化を結ぶ日本語教育をめぐって」
  ・2002年6月9日(日) 14:00-17:00 早稲田大学 国際会議場 第3会議室
  ・先着80名まで:事前申し込みが必要です
  ・参加申し込み・お問い合わせは,凡人社(info@bonjinsha.com)まで。


=【開催】===========================================================
● 国語と日本語の連携を考える会 第10回研究会:「日本人・留学生・年少
 者を結ぶ視点」
 ・2002年7月27日(土) 15:00〜18:00 早稲田大学 22号館
 ・多文化共生をめざす「地球子供教室」の日本語学習とカリキュラム構成
 ・大学での「書く」授業を通じてどんな「視点」が引き出せるか


+【発売中】────────────────────────+
◆『日本語教育は何をめざすか―言語文化活動の理論と実践』◆
          ◆ 細川 英雄著 ◆
    ◆明石書店 2002年1月31日刊行 6,500円◆
     著者15年の「日本事情」研究の集大成。
   ことばと文化を結ぶ,画期的な日本語教育原論。
 ◇ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/naniwo.htm ◇
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このメルマガとの連携に興味のある方,お便りください。
      発行責任者:細川英雄 hosokawa@mn.waseda.ac.jp
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 誌 名:ルビュ「言語文化」22号
 発行日:2002年5月31日(毎週金曜日発行)
 発行所:言語文化研究室
     〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14
     早稲田大学大学院日本語教育研究科
 編集・発行責任者:細川英雄
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/
 配信システム:まぐまぐ
     http://http://www.mag2.com/
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 登録,解除の手続きは,
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm
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