2002/05/24

[RLC020524]ルビュ言語文化 第21号

[2002-05-24] Revue Langue et Culture N.021
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[ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第21号 ──

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■ 第21号もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ 研究室より
◇ おしらせ特集‥日本語教育関連シンポジウム・研究会のご案内
◇ 刊行物ご案内‥細川編『ことばと文化を結ぶ日本語教育』 ほか


■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 最近「書く」という行為についてよく考える。
 「書くことがない」という人は日常的にいる。しかし,好きなこととか興
味関心ならばだれでも持っている。そういう意味では,「書くことがない」
というのは,自己の中の他者への提案を自ら引き出しにくい状況だと考える
ことができる。そうだとすると,「好きなこと」や興味・関心から入ってい
くのもいい方法だ。

 ところがここで一つ問題がある。

 たとえば,「りんごが好き」というテーマで,「なぜりんごが好きか」と
いうことだけを書いても,読者は「ああ,そうなの」という感想を述べるに
とどまってしまう。「なぜりんごについて書くのか」ということで,はじめ
て筆者の読者への姿勢が見えてくるわけだ。そこではじめて「私にとって,
りんごについて書くこととは,〜である」という立場が見えてくる。そうす
ると,本当に書きたいことは,「りんご」ではなく,りんごの記憶に伴う
「母の愛」(ちょっと画一的!)であったり,「家族との交流」であったりす
るということになる。
 その場合も「りんごが好き」という理由と,「りんごが好きだから,りん
ごについて書く」という理由は,実際にはほとんど区別されずに思考されて
いるから,はじめから「書くこと」をめざしては,テーマが設定しにくい。
しかし,書きすすむうちに,そのことに気づき,もう一度,自分のテーマに
ついて考えるようになる,こういう活動が重要だと思う。

 「書く」という行為に向けて,われわれの思考が常に背負っている問題を
この活動が露呈させることは確実で,その点では,はじめから提示されたら
解決できるか,あるいは解決しやすいかというと,そういうことはない。し
かもこの活動は,「書くこと」をパターン化して,だれでもどこでも簡単に
できるようにすることを目的とするものではない。
 こうした活動のプロセスを通して,テーマ設定自体が揺れ動き,自己の思
考のありかを探っていく(探るのはあくまでも自分自身),というのがこの
活動の主眼なのだから。

 でも,これは日本語教育なの?そういう質問を待っています。  (ほ)

+-【!ご意見ください!】-------------------------------------------+
このメルマガでは,読者の方々の,いろいろな意見を紹介しつつ,日本語教
育の問題をみんなで考えていく「場」としたいと考えています。どうぞHPの
掲示板にお便りをください。皆さんからの投稿を待っています。
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■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
=【!本日開催!】===================================================
□ 大養協(大学日本語教員養成課程研究協議会)シンポジウム
□ 年少者日本語教育から,大学日本語教員養成に期待するもの
====================================================================
日本語教育関係者を対象としたシンポジウムを開催します。
●日時: 2002年 5月24日(金) 14:30〜17:00
●会場: お茶の水女子大学 文教育1号館
     http://www.li.ocha.ac.jp/map.html
●講師: 宇土泰寛(東京都港区立三光小学校)
     岡崎 眸(お茶の水女子大学)
     小島順子(横浜市立飯田北小学校)
●司会: 細川英雄(早稲田大学)
●使用言語:日本語
お問い合わせは,
大養協事務局(京都外国語大学中川良雄研究室:yo_nakagawa@kufs.ac.jp)
まで。


=【開催】===========================================================
□ 日本語教育関連研究会,等 4件
□ くわしくは http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/ で
====================================================================
●日本語・日本語教育研究会:「日本語の文法論を一般化すれば・・・」
 ・2002年6月6日(木) 16:30〜18:00 早稲田大学22号館 203教室
 ・講師:アンドレ・ヴロダルチック(リール第3大学)使用言語:日本語

●「21世紀の日本事情」研究会:最近の「日本事情」研究の統括
 ・2002年6月7日(金) 17:30-19:00 早稲田大学22号館 509教室
 ・講師:長谷川恒雄(慶応義塾大学 国際センター)

●『ことばと文化を結ぶ日本語教育』交流シンポジウム「ことばと文化を結
 ぶ日本語教育をめぐって」
 ・2002年6月9日(日) 14:00-17:00 早稲田大学 国際会議場 第3会議室
 ・講師:『ことばと文化を結ぶ日本語教育』執筆者(細川英雄,他)

● 国語と日本語の連携を考える会 第10回研究会:「日本人・留学生・年少
 者を結ぶ視点」
 ・2002年7月27日(土) 15:00〜18:00 早稲田大学 22号館
 ・多文化共生をめざす「地球子供教室」の日本語学習とカリキュラム構成
 ・大学での「書く」授業を通じてどんな「視点」が引き出せるか


■ 刊行物ご案内 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
=【ついに刊行】=====================================================
□ことばと文化を結ぶ日本語教育(日本語教師のための知識本シリーズ2)
□細川英雄 編(凡人社,2,400円+税)
====================================================================
日本語教育における「文化」とは何か。ことばと文化の関係に着目した実践
を手がかりに,コミュニケーションとしての第二言語習得の位置づけを捉え
なおす14章。
●ことばと文化を結ぶ日本語教育をめざして
●学習者参加型評価と日本語教育    ●学習者主体とは何か
●日本語教師のための状況的学習論入門 ●内容重視の日本語教育 ほか
くわしい内容を,http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/musubu.htm
でご覧いただけます。
お求めは,全国書店で。


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◆『日本語教育は何をめざすか―言語文化活動の理論と実践』◆
          ◆ 細川 英雄著 ◆
    ◆明石書店 2002年1月31日刊行 6,500円◆
     著者15年の「日本事情」研究の集大成。
   ことばと文化を結ぶ,画期的な日本語教育原論。
 ◇ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/naniwo.htm ◇
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ルビュ言語文化(RLC)では,日本語教育関係のメルマガやホームペー
ジとのリンクを積極的に推進しています。
このメルマガとの連携に興味のある方,お便りください。
      発行責任者:細川英雄 hosokawa@mn.waseda.ac.jp
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 誌 名:ルビュ「言語文化」21号
 発行日:2002年5月24日(毎週金曜日発行)
 発行所:言語文化研究室
     〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14
     早稲田大学大学院日本語教育研究科
 編集・発行責任者:細川英雄
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/
 配信システム:まぐまぐ
     http://http://www.mag2.com/
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 登録,解除の手続きは,
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm
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