2002/02/28
[RLC020228]ルビュ言語文化 第14号
[2002-02-28] Revue Langue et Culture N.014 #################################################################### [ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第14号 ── #################################################################### ■ 第14号もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇研究室より ◇日本語教育とは何か(13) ― またまた添削という病い ◇院生からひとこと‥行動派日本語教師を目指すあなたへ 朴 淳芽 ◇おしらせ‥研究発表募集 ほか ◇刊行物のお知らせ‥『日本語教育は何をめざすか』 ほか ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「教室」とは何だろうかと時々考える。ことばを学ぼうとする人が集まっ てくる空間ではあるが、それを外の世界と区切ってしまったミクロコスモス を形成しても何の意味もない。かといって、教室を飛び出して活動をするこ とが自然な言語習得ならば、教室は必要なくなる。むしろ普段はバラバラに 生活している学習者たちがそこに集まって何かができる、そしてその協働的 な活動は彼ら一人一人の思考と表現をそのまま反映している。ちょうど、鳥 たちが翼を休め、そしてまた力をつけて飛び立っていけるような空間。そう いう空間が「教室」なのではないか。 (ほ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==================================================================== □ 日本語教育とは何か(13) □ またまた添削という病い ==================================================================== 添削問題について、掲示板での議論が盛んである。 最終的に行きつくところは、やはり日本語教育観だろう。 「学習者は「文法」を直して欲しいと思い、作文を提出するなら教師はそれ に答えるべきだと思うのです。」と書いてくれたHさんは、さらに「ここで は「初級において」と話を限定して進めていきたい」として、次のように述 べている。 ■「添削」について ( 176 )[ 02/02/23] 「きのう何をしましたか」という作文を書いてもらいました。目的は、既習 の文法事項をいかに活用できているかをみたかったからです。そこで、学習 者が文法を誤って使っていたり、助詞が間違っていたり、濁点が抜けていた りしたら、修正するのは当たり前のことのように思います。 たぶん、この意見に賛同する人は多いと思う。 ところが、僕はそれが「当たり前」ではないと考えている。たとえば、上記 の作文課題で、「きのう、おいしいのりんごがたびました。」と学習者が書 いて来たとしする。そこで、教師が「きのう、おいしいりんごをたべました 」と修正したとしたら、そこで学習者の思考はとまってしまう。 この場合、教師にとっては「「おいしいのりんご」って何?」「だれがりん ごをたべたの?」「○○さんは、りんごをどうしたの?」「なぜ、りんごを たべたの?」というような質問が必要だと僕は考える。 一回の作文で一人一人そんな質問をしている時間はない、という先生は大勢 いるだろう。だからこそ、「目的は、既習の文法事項をいかに活用できてい るかをみたかったから」とする、教師の教室活動とその目的に問題があるの では、ということになる。日本語教育の教室活動の「目的」が、「既習の文 法事項をいかに活用できているかをみ」るためだったら、あまりにもさびし い。 これが僕の立場であるが、このことを大学院の学生たちと話していたら、自 らも学習経験のある韓国からの留学生たちが一斉に言った。「真っ赤になっ た作文を見ると、先生は一生懸命やってるなってわかるけど、直された作文 はずぐゴミ箱行き!」 以下次号をお楽しみに! (ほ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□ご意見ください!! この「日本語教育とは何か」のコーナーでは,読者の方々の,いろいろな 意見を紹介しつつ,日本語教育の問題をみんなで考えていく「場」としたい と考えています。どうぞHPの掲示板にお便りをください。できれば,記名の ものを望みますが,匿名でも結構です。 皆さんからの投稿を待っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□「総合」レポート集ほか刊行! □?「総合」2002年度秋学期版「25人の眠れない夜と熱い日本語、YEAH!」 □? 細川英雄編「南アジア作文ワークショップレポート集」(早稲田大学 日本語研究教育センター、2001・3) □? 「合本 「社会」から「個」へ、「個」から「社会」へ」(早稲田大学日本語研 究教育センター・言語文化研究室、2001・3)残部僅少。 ご希望の方は、返信用封筒(A4サイズ・宛名入り)と切手(?・?は500円分 ?は1000円分)をお送りください。折り返しお送りします。 ★☆たくさんのお問い合わせ、ありがとうございます。研究室は、3月中閉室 となるため、ご返事が遅れるかもしれません。ご容赦ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ +─────────────────────────────[PR]─+ ◆ 「総合活動型日本語教育」への疑問,質問に答える ◆ ◆ 早稲田大学大学院日本語教育研究科言語文化研究室 ◆ □□ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/qanda.htm ■ なお、2001年度秋の「総合」をはじめとする言語文化活動への、さまざ まなアプローチが「論集ひととことば」第2号に掲載されます。「私にとって の言語文化」をはじめ、「「総合」を分析する」、「「総合」は「日本事情 教育実践研究」たりうるか」など、いろいろな角度からの考察が満載です。 「総合活動型日本語教育」に興味をおもちの方、ぜひご一読を! 3月末にはHPにアップします。 +────────────────────────────────+ ■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==================================================================== □ドイツ語圏 大学日本語教師会 第8回 2002年 ベルリン・シンポジウム ==================================================================== ●期日:2002年3月22日(金)〜24日(日) ●テーマ:グローバル化時代の『日本語教育・日本事情教育』─理論と実践 ●招待講師:細川英雄(早稲田大学日本語教育研究科ー・教授) ●協賛:日独ベルリンセンター Japanisch-Deutsches Zentrum Berlin 連絡先 Dr. Yoriko Yamada-Bochynek, e-mail: yayo@zedat.fu-berlin.de +─[新刊!]────────────────────────+ ◆『日本語教育は何をめざすか―言語文化活動の理論と実践』◆ ◆ 細川 英雄著 ◆ ◆明石書店 2002年1月31日刊行 6,500円◆ 著者15年の「日本事情」研究の集大成。 ことばと文化を結ぶ,画期的な日本語教育原論。 ◇ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/naniwo.htm ◇ +────────────────────────[新刊!]─+ 新刊問い合わせ殺到,ご要望に応えられなくてごめんなさい。 新刊は,全国書店にて入手できます。通信販売ではありません。 最寄の書店,大学生協等にご予約ください。 目次は,上記HPで見られます。読後感想等,お願いします。 ■ 院生からひとこと ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==================================================================== □行動派日本語教師を目指すあなたへ □日本語教育研究科1年(01秋期生) 朴 淳芽 ==================================================================== 行動派日本語教師を目指すあなたへ 「教育」というと、「伝統的な教室場面」を思い浮かべる。 机、いす、教壇、教科書、そして教える教師と教わる生徒。 しかし、これらに「待った!」をかける授業が早稲田にある。 「言語文化研究」だ。ここには教壇が存在しない。あるのはまーるく輪にな った机とそこに座る人のみ。そこでは「ことばとは?」「文化とは?」「言 語文化とは?」ということをめぐって大の大人が議論を交わす。通り一辺倒 の「一般論」、教材から得た知識などは通用しない。「あなた自身はどう思 うのか?」「あなた自身はどう捉えるのか?」それだけが問いただされる。 それ故に、時には苦痛を伴う。なぜなら「私の考え・立場」は教科書のどこに も載っていない。「私の思考の中のみ」に存在するのであって、「内言と外 言を通したコミュニケーションの往還」によってのみ、それは実態を表す。 しかし、それが実態だと思いきや偶像である場合もあったりする。う〜ん、 やっぱり難題・・・しかし、山は大きいほど、張り合いがある。「私が捉える言 語文化」も膨大な時間と試行錯誤によって築かれる、だからこそ学ぶ意義が あるのではないだろうか。 黙って机に座っても答えは出てこない。自分が自分の頭で思考し、表現し、 お互いのインターアクションを通してはじめて答えを探す糸口が見つかるの である。そしてその先には、新しい「自分」が必ず見えてくる。「自己変容」 した自分自身を目の当たりにする。 好奇心旺盛で、打たれ強い、根性のある人はぜひ、「言語文化研究」の参加 をおすすめする。これからの時代、日本語教師もタフな行動派しか生き残れ ないと思うので・・・ ==================================================================== □この欄は、大学院日本語教育研究科所属の大学院生に書いてもらっていま す。執筆希望の方は、細川までお知らせください。 なお、今回話題の「言語文化研究」の授業評価がリアルタイムで掲示板に出 ています。こんなおそろしい授業もある!! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ +──────────────────────────[PR]─+ ◆◆◆ めるマガ『日本語教師,あ・つ・ま・れ〜!』 ◆◆◆ 毎回お届けする日本語教授レシピは楽しい授業にするためのヒント がいっぱい!また,日本語や日本語教育,日本文化などに関する様 々な疑問・質問・悩みについても語り合います。日本語や語学教育 などに関心のある方,是非ご参加ください!(^.^)ノ http://www.kfcs2000.com/f/index.html +─────────────────────────────+ ==================================================================== ★☆★☆★☆★☆★ 注 目 !!★☆★☆★☆★☆★☆★ ■ 早稲田の日本語教育はここからはじまる!! ■ 日本語教育学公開講座−21世紀の日本語教育学へ− □ 新学期登録受付中。定員になり次第〆切ります。 □ http://www.waseda.ac.jp/cjl/koukaikouza/koukaikouza.htm ★☆★☆★☆★☆★ 注 目 !!★☆★☆★☆★☆★☆★ ==================================================================== 外国人のための日本語教育の現状と歴史を踏まえつつ,社会・文化とのか かわりや新しいマルチメディアの教育も視野に入れて,21世紀の日本語教 育への展望を早稲田から提案します。 早稲田大学日本語研究教育センター・大学院日本語教育研究科の専任スタッ フによる,これから日本語教育を学んでみようという方々を対象にした講座 です。 □受講対象:日本語教育に関心があり,主にこれから学習を始めようとして いる方 □講座期間:2002年4月13日〜12月21日 □講座時間:土曜日(大学休暇期間・祝日は休講)10:00〜12:15 □講座日程:通年講義・全22回 ──────────────────────────────── □受講期間に限り,早稲田大学中央図書館を利用することができます。 □受講終了後,希望者には受講証明書を発行します。 ==================================================================== +──────────────────────────[PR]─+ 【注目!!】ルビュ言語文化(RLC)では,日本語教育関係のメルマ ガやホームページとのリンクを積極的に推進しています。 このメルマガとの連携に興味のある方,お便りください。 発行責任者:細川英雄 hosokawa@mn.waseda.ac.jp +─────────────────────────────+ ==================================================================== ■研究発表および授業実践報告募集 ■第4回コミュニケーション教育フォーラム (兼・日本コミュニケーション学会関東支部大会) □テーマ:「学習意欲とコミュニケーション教育」 □主催:日本コミュニケーション学会(CAJ)関東支部 東海大学教育開発研究所(RIED) □期日:3月16日(土)10:15〜17:10(9:45受付開始) □場所:東海大学(代々木校舎2号館)http://www.yc.ycc.u-tokai.ac.jp/ ==================================================================== ■問合せ&申込み 〒151-8677 渋谷区富ヶ谷2-28-4 東海大学 教育開発研究所 松本 茂 電話&FAX 03-3485-4958 E-mail: smatsumo@yoyogi.ycc.u-tokai.ac.jp (smatsumotoではありませんので,ご注意ください) ==================================================================== ■ 刊行物のお知らせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==================================================================== ■日本語教育新聞 2002年1月1日発行 800円(消費税込み) ==================================================================== □大学院訪問シリーズ 早稲田大学大学院日本語教育研究科「早稲田から世 界へ」 □日本語教育新聞社 TEL:03-3352-1900 FAX:03-3352-1911 ◇日本語教育研究科・崔明淑さん(01秋期生)も出ています。 ==================================================================== ■ 日本語教師養成学校&海外プログラムガイド2002 ==================================================================== □イカロス出版 2002年3月発行 □大学院で学ぶ日本語教育 ―早稲田に行きたくなる!大学院日本語教育研究科の魅力が満載!― 当研究室の塩谷奈緒子さん(01秋期生)も出ています。 ==================================================================== □アルク「月刊日本語」2002年1月号 発売 □特集「日本事情 あなたはどう教えますか?」 □http://www.alc.co.jp/gn/ ==================================================================== ・日本語学習におけるコミュニケーションと社会文化行動 ―60年代からの試みと現在の課題 J.V.ネウストプニー ・言葉と文化を結ぶ地平―総合活動型日本語教育のめざすもの 細川英雄 ・「日本事情」研究の昔と今 牲川波都季 ・日本事情の授業に潜入―佐々木瑞枝,小田切隆,泉史生ほか ・日本事情に関する参考文献等,盛り沢山の情報が一杯! ◇2月号には,当研究室の于之玲(01春期生)さん,4月号「日本語教師にな るまで物語」には,大尾嘉昭恵さん(01秋期生)さんも出ています。 ==================================================================== □「論集ひととことば」 ==================================================================== ■当言語文化研究室での活動を中心にした交流誌です。 全文が,HPのPDFで見られます。乞アクセス。 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/htkt_jn.htm 当研究室への参加を考えていらっしゃる方に是非おすすめ! 現在,第2号鋭意編集中。3月末には刊行します! ■ なお、2001年度秋の「総合」をはじめとする言語文化活動への、さまざま なアプローチが「論集ひととことば」第2号に掲載されます。「私にとっての 言語文化」をはじめ、「「総合」を分析する」、「「総合」は「日本事情教育 実践研究」たりうるか」など、いろいろな角度からの「総合活動型日本語教育」 への考察が満載です。 ==================================================================== □「21世紀の「日本事情」― 日本語教育から文化リテラシーへ」 □http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/21c.htm ==================================================================== 今,最も新しい「日本事情」研究の専門誌です。最先端の理論と実践が満 載,この雑誌を知らずして「日本事情」はもはや語れません。 くろしお出版刊。全国書店にて1〜3号好評発売中。投稿熱烈歓迎。 ■第4号の投稿〆切は,4月末日です。皆さんの投稿をお待ちしています。 投稿規程:http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/21c.htm ==================================================================== +──[PR]───────────────────────+ ◆ 早稲田大学日本語教育研究科 ◆ 今,早稲田の日本語教育がおもしろい。 もっともホットでニュースな大学院, 日本語教育研究科へようこそ。 ◇ http://www.waseda.ac.jp/gsjal/ ◇ 入学願書配布中。 +───────────────────────────+ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誌 名:ルビュ「言語文化」14号 発行日:2002年2月28日(毎週木曜日発行) 発行者:言語文化研究室 〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14 早稲田大学大学院日本語教育研究科 編集責任者:細川英雄 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/ 配信システム:まぐまぐ http://http://www.mag2.com/ ────────────────────────────────── 登録,解除の手続きは, http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (c) 2002 Hosokawa, H. 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