2001/12/13

[RLC011213]ルビュ言語文化 第5号 400部突破!

[2001-12-13] Revue Langue et Culture
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[ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 (RLC) ── 第5号 ──

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■ 第5号もくじ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇研究室より‥日本語教育とは何か(4)
◇院生からひとこと‥オリジナルなうさぎを目指して      新井久容
◇おしらせ‥横浜市国際交流協会講座「共に生きる地域をめざして」,国語
 と日本語の連携を考える会,『日本語教育論集』投稿規程
◇刊行物のお知らせ‥「論集ひととことば」創刊号,「21世紀の「日本事
 情」」第3号
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■ 研究室より ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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□日本語教育とは何か(4)―「学習者ニーズ」の恐ろしい落とし穴 (2)
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 前号の本欄を見て,現職の日本語の先生から早速お便りをいただいた。
 以下,紹介しよう。
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 今朝配信された「ルビュ言語文化4号」を読みました。実は,学習者のニー
ズに関して,ここに載せられているお話しを聞いたとき,私も似たような経
験をしたことを思い出していました。

 私の教えている学校は一般成人が対象で,来日の目的,滞在期間,日本語
学習の動機,これまでの学習歴等々,どれをとっても本当にばらばらで,い
わゆる学習者のニーズというのもまさに多様なのですが,ここ数年,学習者
から要望の出ることといえば,とにかく「話したい」「会話がしたい」とい
うことなのです。

 これまでどちらかというと4技能をバランスよくということで,漢字の読み
書きや読解力の養成などを初級からしっかりやってきて,学習者のほうもが
んばってついてきていたのですが,最近そのようなカリキュラムについてい
けない,つまり全体に学習者のレベルが低下するという傾向が出てきまし
た。
それと同時に,読み書きはやりたくない,もっと話す機会をという声がいつ
もあがるのです。
そこでこちらも少しカリキュラムを見直そうということで,たとえば聴解の
クラスは「聞き取りと会話」,読み物を読むクラスは「読みと話し合い」の
ように,看板をつけかえ,授業でもなるべく話す機会を与えるようにしよ
う,ということにしました。

 ところが担当の教師から次のような声があがってきました。授業で一通り
の教材を消化しその教材の内容にリンクさせたテーマをもちだして,「さ
あ,話しましょう」と言ってもちっとものってこない,あれほど「もっと会
話を!」と言っていたのに,いざとなると何も話すことはないようだ。いっ
たいどうすればいいんですか,と。
さらに,そのものずばり「会話」というクラスを受け持った教師の悩みは
もっと深く,ほかのどのクラスでも「話す」ということを取り入れているの
で自分のところではもう話す種がなくなってしまう,初級のうちなら場面別
会話(レストランで,とか空港でのような)もできるが,中級になるとその
ようなことはもうやる必要がないようだし...。機能別会話(頼むとき,
誘うときなど)はビデオのクラス(国研のビデオ教材などを使っている)で
やっているので重なってしまうし...。

 つまり,「もっと話したい」という学習者のニーズを,既製のテキストや
手作りの教材(会話の題材となるような新聞記事とか)をひっぱってきて何
とか埋めようとしても埋まらないという現実があるのです。
ある教師は,「日本在住の学習者はけっこう普段から日本人と話す機会もあ
るようだし,教室という空間でわざわざ何か話そうという気になれない人も
いるらしい。でも,周りに話せる日本人がいなくて学校が唯一の話す場だと
いう人もいるし...。学習者全員のニーズを満たすことなんて不可能では
ないですか,と。

 さて,この現実をどう考えたらいいのでしょう。

 結局学習者は何か与えられたもの,提供されたものから話すのではなく,
真に話したいのは自分自身の内側から出てくるものだということなのでしょ
うか。そうなるとやはり「総合」(編集者注:HPの「総合活動型日本語教
育」の項 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/qanda.htm を参照)
のクラスしかないのか,と思えてくるのですが,皆さんはどう思いますか。
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 さあ,あなたはどう考える?!
 以下次号をお楽しみに!                   (ほ)
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◆ 「総合活動型日本語教育」への疑問,質問に答える ◆
◆ 早稲田大学大学院日本語教育研究科言語文化研究室 ◆
 □□ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/qanda.htm
 □□ 当言語文化研究室で設計した「総合活動型日本語教育」に関して
 □□ 今までにいただいたご意見,ご質問に対する私の考えを述べまし
 □□ た。ご意見やご質問をお寄せいただければ幸いです。
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■ 院生からひとこと ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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□出会い:オリジナルなうさぎを目指して
□日本語教育研究科M1年(01秋期生) 新井久容
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 ぴょ――ん,ぴょ――んと,野原を跳ねていたうさぎが,細川研究室のド
アをたたきました(ドアはいつも開いている)。

 「すみませーん,ことばと文化を結びたいんですけどー」。

 細川先生は「うさぎだからダメ」とは言いません。「じゃあ,うさぎさ
ん,考えてること言ってみて」。「...」。「考えることをやめるってこ
とは,うさぎをやめるってことでしょう」。翌日,焦ってニンジンを持って
再訪したうさぎに,細川先生は「うさぎだからニンジンっていうのは,
ちょっとねぇ。あるでしょ,何か。ニンジンでなきゃ困るっていう理由が。
それを言わないと」。

 細川研究室で生き抜くためにはオリジナルでいる努力をしなければならな
い,そんな当たり前のことを悟った瞬間でした。「私」自身が何をどう考え
ているのか。これを提示できないようでは,何も始まりません。そして,そ
んな「私」を支えるのは,最終的には,「これだけは」という自分の「こだ
わり」ではないでしょうか。

 ここへ来ると,「生き方」が変わるかもしれませんよ。
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◆『日本語教育と日本事情−異文化を超える』◆
   細川 英雄 著 明石書店
   ISBN4-7503-1211-8 本体:2000円.(四六判256頁)
◇ http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/akashi.htm ◇
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■ おしらせ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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□横浜市国際交流協会 主催
□講座「共に生きる地域をめざして PART2」(全3回。各回申し込み制)
□http://www.yoke.city.yokohama.jp/
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●第1回講座(現在,申し込み受付中)
 「ニューカマーの子どもたちの今,未来,そして私たちにできることは」
日本語を母語としないニューカマーの子どもたち(外国籍の子どもたち)が
増えています。学校現場や親たちの母語教育への意識,ボランティアによる
補習教室の取り組みなど,日本語を母語としないニューカマーの子どもたち
をとりまく現状や課題について話し合います。

日時: 12月8日(土) 13:30〜16:30
講師: 齋藤ひろみ(東京学芸大学 海外子女教育センター助教授)
テーマ:「日本で暮らすニューカマーの子どもたちの現状と課題について」
パネリスト:村田栄一(横浜市立金沢中学校教諭)「コンピューターを使っ
      た日本語教材の紹介」
     :本橋十喜子(ユッカの会)
      「補習教室にかかわって」
     :グエン・ヒュー・ゴック(ファン・ボイ・チャウベトナム語教
      室主宰者) 「母語教育について」
会場: 産業貿易センタービル9階会議室(横浜市中区山下町2)JR関内駅
    徒歩13分
定員: 100名
対象: 関心のある方ならどなたでも
参加費:500円
申込み・問合せ:(財)横浜市国際交流協会 Email: yoke@city.yokohama.jp
    FAX:045−671−7187  TEL: 045-671-7128
    電話,FAX,Eメールにて受付(先着順)
主催: 日本語ボランティア研修講座実行委員会

次回以降予告
●第2回講座(※申し込みは1月7日〜上記方法で受付。先着順。)
 「ボランティア現場で活かそう!子どものための日本語・教科指導」
地域で外国人の子どもたちと接するボランティアは特に必見。ボランティア
現場で活かせる子どものための日本語・教科指導,子どもメールを担当して
感じる子どもを取り巻く課題・連携について経験豊かな講師から話を伺いヒ
ントを得る。
期日: 1月27日(日)14時〜16時
会場: 横浜国際交流ラウンジ(産業貿易センタービル9階)
内容: 池上摩希子氏(中国帰国者定着促進センター,『子どもメール』担
    当)による講演など。質疑応答あり。
定員: 50名(先着順)
費用: 500円
●第3回講座
「つなげよう!ニューカマーの子どもたちを支える ボランティアの輪」
外国人の子どもたちを日本語学習,教科補習,母語保障など多方面から支え
ていくために自分たちには何ができるかを事例を参考に考える。
期日: 2月23日(土)13時半〜16時
会場: 横浜国際交流ラウンジ
内容: とよなか国際交流協会「子どもメイト」,川崎市のポルトガル語母
    語学習グループ,横浜市内の補習教室の実践報告など。
定員: 50名(先着順)
費用: 500円
(財)横浜市国際交流協会(YOKE)
http://www.yoke.city.yokohama.jp/
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□第9回 国語と日本語の連携を考える会
 http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/semi.htm
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来聴自由! 事前申し込み等不要です。みなさまふるってご参加ください。
●テーマ:自立を育てる言語教育
●期 日:2002年1月26日
●会 場:早稲田大学22号館(黄色いビル)
●話題1:Critical Thinkingからパラグラフ・ライティングへ
     加納なおみ(東京水産大学)
●話題2:自立を支援する ―ジェンダー・センシティヴの総合的教育実践
     を手がかりに
     飯田睦美(山梨県増穂南小学校)
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□『日本語教育論集』投稿規程・執筆要領
□今年度からどなたでも投稿できるようになりました。
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『日本語教育論集』投稿規程・執筆要領
1. 目的 ------------------------------------------------------------
本誌は,日本語教育および日本語教師教育の内容・方法に関わる研究,特
に,教育実践にもとづいた研究,新たな視点に立つ研究,将来の展開が期待
される研究の成果を積極的に公表することにより,日本語教育の発展に寄与
しようとするものである。
2. 投稿資格 --------------------------------------------------------
上記の目的に合致する内容の原稿であれば,投稿資格は問わない。
3. 原稿の種類 ------------------------------------------------------
投稿原稿は未発表のものに限る。ただし,学会における口頭発表等を論文の
形式にまとめなおしたものも未発表とみなす。投稿原稿の種類は以下のとお
り。
 研究論文:オリジナルな知見や提言を含む理論的,実証的な研究論文
 報告:教育実践の報告・分析,調査報告,等。
 研究ノート:上記の研究論文および報告に至る前の,萌芽的・探索的な段
 階の研究・報告,等。尚,特定のテーマを設け,内外の研究者に執筆を依
 頼することがある。

*問い合わせは,文書・FaxまたはE-mailで編集委員会まで。
〒115-8620 東京都北区西が丘3-9-14
国立国語研究所『日本語教育論集』編集委員会
Fax 03-3906-3530 E-mail  ronshu@kokken.go.jp
URL http://202.245.103.41/kenshu/jg/ronsyu/ronsyu.htm
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がいっぱい!また,日本語や日本語教育,日本文化などに関する様
々な疑問・質問・悩みについても語り合います。日本語や語学教育
などに関心のある方,是非ご参加ください!(^.^)ノ
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      発行責任者:細川英雄 hosokawa@mn.waseda.ac.jp
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□「論集ひととことば」創刊号 刊行
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 大学院日本語教育研究科開設に伴い,従来の「ひととことば」(ひつじ書
房発売)を一新し,当研究室での活動を中心にした電子媒体による新方式の
交流誌を刊行します。半期1冊のペースで,大学院生のレポート等を掲載し
ます。内容は,HPのPDFで見られます。乞アクセス。
http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/htkt_jn.htm


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□「21世紀の「日本事情」― 日本語教育から文化リテラシーへ」第3号
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 今,最も新しい「日本事情」研究の専門誌です。最先端の理論と実践が満
載,この雑誌を知らずして「日本事情」はもはや語れません。くろしお出版
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 発行日:2001年12月13日(毎週木曜日発行)
 発行者:言語文化研究室
     〒169-8050 新宿区西早稲田1-7-14
     早稲田大学日本語教育研究科
 編集責任者:細川英雄
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/
 配信システム:まぐまぐ
     http://http://www.mag2.com/
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 登録,解除の手続きは,
     http://faculty.web.waseda.ac.jp/hosokawa/mmaga.htm
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(c) 2001 Hosokawa, H. Lab. 無断転載を禁じます。

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