[2025-06-27] Revue Langue,Culture et Education. n.896 ###################################################################### [ 週刊 ] ル ビ ュ 言 語 文 化 教 育(RLCE) ─896号─ ###################################################################### ■ 896号:もくじ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ --◆◇研究所より◇◆-------------------------------------------------- 『ルビュ』とわたし                      古屋憲章 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 研究所より ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 『ルビュ』とわたし                               古屋 憲章 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ルビュ』はわたしが自身の考えを初めて公にしたメディアである。 おそらく2003年の12月頃であったかと思う。 当時,わたしは大学院で細川先生が開講されていた理論科目「言語文化教育研 究」を受講していた。 その授業は、細川先生が「言語とは何か」「文化とは何か」等、あるテーマに 関し、20分程度ご自身の考えを述べられた後、それをもとに受講生間で議論す るという構成になっていた。 この授業には、BBS(電子掲示板)が設置されていた。 受講生は毎回の授業後、このBBSに何らかの書き込みをすることになってい た。 誰かの書き込みをきっかけにBBS上で議論が始まることもあった。 あるとき、わたしがBBSに書き込んだ内容に対し、細川先生から「これを 『ルビュ』に転載したい」との打診があった。 たしか「総合活動型日本語教育における教師の役割」みたいなことについて書 いた文章であったと思う。 (考えてみれば、この話は『日本語教師の専門性を考える』 https://cocopb.com/books/978-4-86676-033-9/ 等、現在の私の研究にもつながっている。) SNS等により、誰もが気軽に発信できるようになった今となっては伝わりに くいと思うが、当時、メルマガには時代の先端を行くメディアといった趣があっ た。 まして『ルビュ』はすでに数百人の読者を抱えていた。 わたしは正直、緊張した。「僕なんかの文章が『ルビュ』に載ってもええんか」 と。 結局、わたしは掲載を快諾した。 掲載後、反響があったようで、何号か後にわたしの文章に対する応答が掲載さ れた。 わたしも応答に対し、さらに応答する文章を書き、『ルビュ』誌上でやりとり が行われることとなった。 このささやかな経験は、わたしに意外に大きな影響を与えている。 わたしはこの経験から大きく二つの学びを得た。 一つは、「発信は対話を生む」ということである。 どのような拙い表現であったとしても、発信、すなわち自身の考えを公にすれ ば、その発信を起点に対話が始まる。 その対話がムーブメントを生み、新たな概念を生み、いつしか常識を変えるこ ともある。 もう一つは、「発信には適切な場が必要である」ということである。 もちろん現在では、上述したように、SNS等を通し、個人であっても容易に 発信することができる。 その一方、メディアを介した発信は、常に「ここで表現しませんか」というメ ディア側からの呼びかけから始まる。 この呼びかけには「ここで」という場が必要になる。 呼びかけへの応答として始まることにより、発信は単なる独白ではなく、対話 の起点となる。 以上のような学びにもとづき、わたし自身もこれまで様々なメディアを通して 発信するとともに、発信する場を創ろうとしてきた。 論文執筆、学会発表、動画配信、SNS等による発信等は言うに及ばず、 『ルビュ』に影響を受け、友人とともに『週刊「日本語教育」批評』というメ ルマガを発行していたこともあった。 (2年ほどで休刊してしまい、その後復刊できていないが) また、現在、言語文化教育研究学会で定期的に開催しているトークライブ 「DIALOGO」もそうした発信の場の一つと言えるかもしれない。 https://bit.ly/3HXFH54 そうした様々な形態での発信を経て、わたしは今、自身にとって原点とも言え る『ルビュ』に帰ってきた。 わたしにとって『ルビュ』とは、対話が始まる場である。 ぶっちゃけ「今どきメルマガかいな」とツッコまれる方もいらっしゃるかとは 思う。 しかし、わたしはメルマガというある種限定されたメディアに対話の場として の可能性を感じている。 ここで展開されるであろう言語文化教育をめぐる対話に今からわくわくしてい る。 ★メルマガ『ルビュ言語文化教育』(RLCE)バックナンバー  こちらから『ルビュ』のバックナンバー(一部)がご覧になれます。  https://gbki.org/mailmag.html ★ご意見、ご感想、ご提案  ご意見、ご感想、ご提案等、なんでも  info@gbki.org(言語文化教育研究所)宛までお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 誌 名:ルビュ「言語文化教育」896号 発行日:2025年6月27日 発行所:言語文化教育研究所 八ヶ岳アカデメイア     〒408−0311 山梨県北杜市白州町花水278−43     http://gbki.org/ 編集,発行責任者:細川英雄     http://gbki.org/#greet 協力:ケイ商店 配信システム:まぐまぐ     http://www.mag2.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━